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どうやって中国はさらなる経済成長を遂げるのか?

どうやって中国はさらなる経済成長を遂げるのか?
中国経済はこれまで圧倒的な労働力と企業投資、つまりは資本の投入によって、飛躍的に成長を遂げてきました。しかしながら、1980年代のひとりっ子政策の影響を受け、2011年頃から明らかな労働力不足となり、経済成長率の低下が目立つようになってきました。すでに農村部から都市部への人口移動は完了しており、もともと農村部にいた約1億5000万人の労働力は既に都会へと移っています。現在田舎には子どもと老人の割合が高く、まさに高齢社会となっている状況です。

中国政府は、労働力と資本の投入による経済成長はすでに限界に来ていることを明らかにし、新たな潜在的成長率の引き上げのために、産業における供給側の構造改革に注力していくことを発表しました。

供給側の構造改革とは、生産性の向上です。つまり、簡単に言うと例えば一人の労働者が、より多くの商品やサービスの供給を出来るようにするためにはどうしたらいいか、といことを考え実行していくということ。また例えば、より多くの商品をより早く消費者に届けるためにはどうしたらいいか、ということを考え実行していくということ。

つまりは、イノベーションです。

では生産性の向上をしイノベーションを実現するためには、どういう方法があるか?

ひとつは、限りある資源(労働力や土地、その他資本など)の再配置。生産性の低い分野から高い分野への資源の再配置をすることで全体的な生産性はアップします。農業から工業へ。工業の中でも、より付加価値の高い商品やサービスへ。そしてもうひとつは、数多くある国営企業を民営化することです。中国にかかわらず、多くの国の国営企業は民営化することで生産性を向上させてきました。

この2つに力を入れていくことで生産性の向上は見込めるのですが、中国にはイノベーションを阻害する要因が多く、それらの課題をどのように解決していくのかも重要になってきます。

例えば、知財の保護は依然として不十分であり、外資企業の対中投資を妨げる要因となっています。これは技術移転の促進を妨げることにもなります。また今でも多くの国有企業が市場を独占していることもネックになります。そして、厳しい思想統制が長年続く中国においては、メディアや教育などあらゆる面で政府の監視下にあったため、アイデアを生み出すことへの抑制力が働いているのも否定できません。

しかしながら、こういった向かい風が吹く中でも、中国産業界は世界からある一定の評価を得ているのも事実です。

長い間、中国は技術の大半を海外からの輸入に頼ってきており、イノベーションとは無縁とも言われてきましたが、2012年以降、中国の特許出願件数は世界一となっています。

米国のコーネル大学、フランスのビジネススクール経営大学院のINSEAD、そして世界知的所有権機関のWIPOが共同で発表をした「グローバル・イノベーション・インデックス2015」においても、中国は対象141か国・地域の中で堂々の29位となっています。ちなみに、1位スイス、2位英国、3位スウェーデン、米国が5位、日本は19位です。

また米フォーブス誌が挙げる「中国が世界をリードする8つの産業」は下記のとおり。

  1. マイクロペイメント(少額決済サービス)

  2. 電子商取引

  3. 宅配

  4. オンライン投資商品

  5. 格安スマホ

  6. 水力発電

  7. DNAシーケンス

  8. 高速鉄道


 

さらには米フォーチュン誌の「Global 500」には、WechatやQQのテンセント社が12位、通信機器メーカー大手のファーウェイ(華為技術)は45位、レノボが50位にランクインしています。

先進国を猛烈な勢いで追随してきた中国が、今後は多くの革新的なイノベーションによりさらなる飛躍を遂げるのかもしれません。2016年3月の全人代で示された「供給側の構造改革」では下記のようなことを優先的な課題としています。

  • 行政改革・規制緩和

  • 起業とイノベーションの促進

  • 過剰生産能力の解消(鉄鋼や石炭業界などは既に設備過剰となっており、今後の新規生産力の拡大抑制や旧式生産力の廃棄を目指しています。また過剰生産力の解消に取り組む人材などの再配置・再就職支援など)

  • コスト削減(企業間取引・物流・財務・エネルギーなどのコスト抑制。法的根拠のない企業からの料金・費用の徴収の取締強化など)

  • 財・サービスの供給改善(消費財の品質向上、製造業高度化の促進、サービス産業の発展の促進)

  • 国有企業の改革推進

  • 民営企業の活力発揮


とにかく量を増やして拡大してきた中国が、質向上への転嫁を目指しさらなる発展を遂げようとしています。特に上記にあげる8つの業界の民営企業からは目が離せませんね!

 

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