皆様はライブコマースについて、どのような印象があるでしょうか。最近Instagramでライブ配信やショッピング機能が搭載され、インフルエンサーがユーザーをライブ配信から販売ページへ誘導し商品購入までしてもらうということも日本では散見するようになりました。このライブコマースは、実は中国では4年以上も前から始まり、現在は2億人以上のユーザーがいる市場となっています。
今回は、この中国のライブコマースについて説明し、日本企業の越境ECへの活用方法を探ってみたいと思います。
ライブコマースの歴史
中国におけるライブコマースの歴史は、2015年に遡ります。それより前から流行っていたライブ配信を利用して、マーケティングや商品のプロモーションに運用しようと始まったのが、ライブコマースでした。2015年にはモバイルのプラットフォームが大量に生まれ、2016年に勢いが爆発。次世代のコマース方式として投資熱も高まりました。2017年にはライブ配信サービスのユーザーが3.92億人にも上り、コマースでは有力なプラットフォームがユーザー獲得競争を繰り広げました。プラットフォームだけでなく、同好が集まりやすいユーザー層に着目した広告主は、自社の商品のセグメントに沿ったプラットフォームを探し求め、より低コストで正確なマーケティングを展開。広告代理店などは、ライブ内容の企画・制作などにも乗り出し、それを生業としたサービス会社も数多く発生しました。2018年にはライブコマースのプラットフォームはすでに500個を超え、ユーザーは2億人以上に膨れ上がりました。
出典:http://www.iresearch.com.cn/
市場規模は毎年急速に拡大し、全体の収入の6%以上がライブコマースから来るほどの成長を見せています。
ライブコマースの良い点
- ライブによる双方向のコミュニケーション
- 伝達範囲の広さ
- 正確なマーケティング:興味あるユーザー群を正確に対象にできる
- モバイル端末にて見れる
- 費用対効果の高さを期待できる
ライブコマースがこれほど中国で人気となったのにはもちろん理由があります。ライブ配信中は配信者と観覧者が双方向的にコミュニケーションを自由に取ることができます。これにより、商品に興味を持った人は随時質問し、商品についてより深い理解を得ることができるため、購入へ繋がりやすいという効果があります。また、一度に数百万、数千万を超える観覧者がいるような配信もあるように、伝達範囲が圧倒的に広いです。注目すべきはそのユーザー群で、テレビなど一方的な配信とは違い、ライブ配信の場合は、興味ある人のみが見にくるという点で、購入へのコンバージョンがより簡単になります。そして、スマホで見れるため、文字通り「いつでもどこでも」配信ができるし、それを見ることができます。暇つぶしのために、ライブ配信を見るという層も少なくありません。最後の一つとして、偽物が氾濫してきた中国ならではですが、ライブ配信で顔を見て信頼を得るのも重要な要素だと考えられます。
ライブ配信&ライブコマースプラットフォーム
出典:http://www.iresearch.com.cn/
中国には多くのライブ配信プラットフォームがありますが、それぞれ使用用途や得意分野があります。ゲームやそれ以外の娯楽系、ニュースやソーシャル系など、分野も幅広く、ライブ配信に特化したプラットフォームと、ライブ配信機能を備えたサービスなどがあります。ライブコマースの場合、タオバオのソーシャルバイヤーは特に注目を浴びています。
タオバオのライブ配信は近年急速に再拡大しています。今年3月末に開かれた淘宝直播盛典(タオバオライブ配信祭典)では、売上は億元超えの配信部屋200個、売上千万元を超える配信部屋5000個、そして、1000人のライブ配信スターを育成する計画を発表しました。ここ3年でライブ配信技術の急速発展や消費者の変化に伴い、タオバオのライブ配信は既に、1000億元マーケット規模のサービスに進化しました。今や1日6万件を超えるライブ配信が行われ、年間の取引額が1億元を超えている配信者を2018年の時点で81人も生み出しています。
日本企業の越境ECへの影響 - ベンチャー企業の実績からみたライブ配信の可能性
弊社(CLIPS)が提携した某クライアント様の実績を例にしてみます。中国での知名度はまだ低い美容商材ですが、5名のソーシャルバイヤーによる45分間のタオバオライブ配信で、約10,000個を売り切りました。しかも、タオバオのライブ配信後の販売効果も継続して続けていますので、クライアント様は大喜びです。
また、タオバオのライブコマースは、一般SNSインフルエンサーと比べると費用対効果が抜群で、越境ECの一手段として日本企業の新たな切り口として注目が集まっています。
ライブコマースを成功させるポイント
事前準備や露出の必要性
商品のブランディングの初期段階になります。
ソーシャルバイヤーが商品を取扱うかどうか、主に「タオバオ」「RED」などのプラットフォームで売れているかどうかを見て判断します。
そのために、プラットフォームでよく「売れている」「コメントが多い」などの演出が必要になります。
※中国マーケティングを始めたばかりの商材であれば、日本でも「売れている」ように「見せる」ことが、「売上」に繋ぐ秘訣になります。
価格コントロールの重要性
ファンが多い配信者にライブコマースをお願いする際に、多くの場合はキャンペーン形式で行ってきました。「配信者限定」「期間限定」「還元手法」の配信価格設定があると、多くのソーシャルバイヤーに商品を取り扱っていただけ、また商品は驚くほど売れます。ただし、タオバオや外部の販売プラットフォームで、販売金額が乱立する場合は、配信者がライブ観客からのクレームを受けることになる恐れがあり、まったく商品を取扱ってもらえなくなります。価格コントロール(最低販売価格の制御)は大変重要です。
在庫バランスの調整
ライブ配信の場合は、数時間で数万個売れる事は、決して珍しいことではありません。ただし、在庫をたくさん用意すればリスクも伴いますので、配信時点では自社の商品がどのくらい売れるかを予想しながら在庫バランスを調整しなければいけません。場合によっては、在庫が足りなくても「売れている商材」の演出も必要です。
質が高い配信者の確保
ライブ配信には、人選びもまたコストがかかります。弊社の場合は、現地企業と密接に連携し、多くのソーシャルバイヤーとコネクションを作っております。
※参考:第2回 日中バイヤーグループ東京商談会@渋谷
配送システムの構築
ライブコマース、特に越境ライブコマースには物流配送は大変重要です。
(少々古い記事「越境ECにおける商品配送パターン」になりますが、主に二つの配送方法があります。)
これから参入する方には、「保税モデル」はあまりにハードルが高く難しいので、「直郵モデル」をおすすめ致します。
しかし、直郵モデルは、配送料が高く、2019年4月1日より電商法の影響で引っ掛かる恐れが高くなっています。そのため、安くて合法的な配送方法をおすすめ致します。
弊社は、中国現地の物流会社や中国税関との提携により、ノーリスクで確実にエンドユーザーへの配送が可能になります。
※参考:ダイレクトワン配送サービス(PR機能付き)
今回、中国でのライブコマースの概要・市場変化・使用用途などから、日本企業の越境ECへの活用をご紹介いたしました。
もしご興味ある方がいらっしゃいましたら、より詳細な情報を提供させていただきますので、ぜひお気軽に弊社にお問い合わせください。
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