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アリペイが現金振込手数料を有料化。中国オンライン決済市場の動向に注目

アリペイが現金振込手数料を有料化。中国オンライン決済市場の動向に注目
アリペイ(Alipay)の現金振込手数料が先日(10月12日)より有料になりました。これで事実上、’第三者ペイメント機関’の振込手数料無料の時代が終焉をむかえたということになります。普段からアリペイをよく使っているユーザーにとっては色々と変化が出てきそうですね。

有料化の具体的な内容


アリペイ個人ユーザーは、1人につき2万元まで振込手数料が無料で振り込むことができます。この手数料無料限度額(2万元)を超えた場合、その後0.1%の振込手数料が発生します。ただし、ユーザーはこの手数料無料限度額を、アリポイントを使うことによって、増額することも出来ます。

先日、アリペイのライバルでもあるWechat Payも、振込に対して手数料をかけ始めました。現在、多くのユーザーから支持を得ている2つの'第三者ペイメント機関'の振込手数料が有料になったことで、一部の有識者からは「金額に敏感なユーザーが旧来の銀行利用に戻るのではないか」とも分析しているようです。

アリポイントで額度を両替できる


’第三者ペイメント機関’を通した現金振込について、まず説明したいと思います。ユーザーはアリペイやWechat Payのような決済サービスを通して、お金を指定の銀行口座に入れることができるという仕組みです。アリペイでは、ユーザーは自分のお金を自分の使っている銀行口座に、または自分以外の人の銀行口座に振込むことができます。そして今回この2つの振込に関して10月12日から先述の有料規定が設けられました。なお、アリペイの連携サービスである余额宝については、アリペイとの入出金は無料です。

一方、アリペイで買い物、投資・資産運用、保険、電話代の支払い、携帯料金の支払い、水道料金や電気代など、スマホアリペイの振込やクレジットカードの支払いなどのサービスはこれまでどおり無料で使え、同時にアリポイントを貯めることができます。

アリペイの発表によると、個人ユーザーに対する上限2万元以降の振込手数料0.1%の他に、振込額が0.1元以下である場合、1回あたり0.1元の振込手数料をかかるとのことです。この振込手数料は今年3月に先行して実施されたWechat Payの振込手数料と同額です。違いは、Wechat Payでは手数料無料限度額が1000元であり、アリペイ2万元。そしてアリペイではアリポイントで限度額をアップさせることができます。1アリポイントあたり1元とし、この交換で得られる上限ラインはありません。いくらでも上限をアップさせることができるということです。

コストと業界構図が影響し、無料から有料へ


無料であったものが有料になっていく。これは、間違いなくWechat Pay、アリペイともに「コスト重圧」が要因であるかと思います。
Wechat Payは「有料にする理由を、自社利益ではなく、銀行に手数料を払うため」とし、アリペイは「総合的な運用コストが高まっている」と説明。

「無料を実現していたのは、アリペイやwechatを含め、’第三者ペイメント機関’が銀行に対してユーザーの代わりに手数料を払っていたからです。」と語るのは金融業界に詳しい民間調査機関の研究総督。

業界関係者も鋭く指摘しているようで、長期的な無料サービスは利益創出に相反する影響を与えます。ユーザーは無料であることに慣れてしまった後では、突然の有料化に伴うユーザー側でのショックを、運営社側の’第三者ペイメント機関’で何かしらの補助的な対策をとることは当然となります。また、アリペイやWechat Payのユーザー数はいまなお拡大中で、サービス改善が常に行われるとともに、既に業界全体の構図は出来上がっています。これが’第三者ペイメント機関’が現金振込手数料を有料化することの後押しとなり、その振込手数料から得られた資金によってさらなるサービス強化やシステム改善に充填されるのだろうという見方もあります。

とある業界関係者は、「アリペイの言う通り、アリペイにあるお金で買い物や水道料金、ガス代などの支払いを行うユーザーを今後さらに増やしていくことに、今回の有料化は実質それほど影響を与えないだろう。」と言っています。

多くの銀行が振込手数料を0に


消費者は様々な場面でアリペイやWechat Payを利用し支払いますが、金銭感覚に敏感な一部のユーザーにとっては、手数料が有料になったことで、旧来の銀行主体の決済システムに戻るのではないかとの声もあります。

「兵に常勢無く、水に常形無し。アリペイとWechat Payが有料になり、逆に銀行手数料が0に。」

アリペイユーザーの金さんは言います。仕事上よくアリペイでがよく入出金をします。アリペイが有料になるということを知り、アカウント内のお金を全て引き出したとのこと。「これから振込は銀行で行います。」

事実、アリペイとWechat Payが振込手数料の有料化を告知した直後、多くの銀行もそれに呼応するかのように振込手数料を無料にしました。一部の銀行ではまだ有料ですが、ほとんどが金額制限があるものの0円としました。ユーザーにとっては、アリペイやWechat Pay以外のもう一つ選択肢として再浮上してきたかたちですね。金さんのような方はまだまだ多くいます。筆者のほうでも周囲の知人などに聞いてみましたが、アリペイがこの施策を適用する前に、アカウント残高を見直した人も多くいました。今後は出来るだけ、現金振込はアリペイでしないとのことでした。

また、建国記念の日にインターネットでの’第三者ペイメント機関’利用について非常に不利な政策が発表されたこともあり、ユーザーが銀行決済サイドに流れるように仕向けられたこともあるかと思います。中央銀行から発表された「关于加强支付结算管理防范电信网络新型违法犯罪有关事项的通知」は、2016年12月1日から施行。その内容は、決算機関は個人や団体がアカウント登録をする際に、ユーザーとユーザー間、ユーザーと銀行間での日の累計振込額と件数が制限され、超えた分については振込が不可能となるという通達なのです。

 

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