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中国越境ECを始めるその前に。通販ソリューション展2016秋特別講演レポート第二回

中国越境ECを始めるその前に。通販ソリューション展2016秋特別講演レポート第二回
「中国越境ECに参入する際に心得ておくべきこと」シリーズ記事として、越境ECに関する講演の取材内容をベースに、当ブログ運営のクリップスの越境EC経験の見解を踏まえつつ、全三回に分けて’’中国越境ECの今’’をお伝えしております。取材した講演は10月26日に幕張メッセ通販ソリューション展で開催された特別講演の内容となっております。

※前回:中国KOLエコノミーを追い風にするには?越境ECのSNSマーケティング戦略で心得ておくべきこと

第二回目は、NHN テコラス株式会社コマース事業本部、取締役事業本部長の松崎氏による「越境ECを成功させるための、5つのポイント~異文化ECへのチャレンジ~」です。

同社では今年の春よりTmall国際への出店サポートを行っており、今回の講演では、その事業を進める過程おいて、出店企業を手間取らせる注意点についてお話されてらっしゃいました。

商標登録とメーカー協力の重要性


Tmall国際に出店する際に、商標と授権証明書が必ず必要になります。意外と商標をとっているメーカーさんが少ないのですが、これはTmall出店うんぬんの前に非常に危険です。大前提、中国は先願主義です。つまり先に商標登録をした者に商標権をもつ権利が発生します。たとえ、それが偽物メーカーからの申請であろうと。偽物が横行する中国では、必ず迅速に商標をとる必要があります。ひどい場合には、進出するずっと以前に全く関係のない偽物メーカーに自社商標を押さえられてしまう場合もあります。中国に進出する可能性が少しでもあるなら、今すぐにでも押さえておくべきです。販売会社が中国で売りたいのに、メーカーが商標を出さないケースもあるようですが、必ずメーカーは協力的になることをおススメします。

商標の冒認出願の件については、当ブログでも以前に何度かお伝えしております。クリップスでも進出するメーカー様には必ず対応をお願いしております。(※参考:冒認出願からあなたの商標を守るために



また、JDworldwideでは授権証明書は必要ないのですが、商品の出自を証明しなければなりません。ここではメーカーの捺印済の納品書が必要になります。メーカーが販社や卸業者に発行する納品書のことですね。こちらもあれよあれよという間に忘れがちですので注意しましょう。

キダチアロエ問題とは何か?


健康食品を売る際は、ワシントン条約に気を付けましょう。原材料に植物由来の物が使われている場合、その植物が天然ではなく、ちゃんと農家で作られたものであるという証明が必要になります。例えばキダチアロエがその範疇に入る植物であるため、キダチアロエ問題と称するのですが、健康食品にはそのまま輸出できないという植物由来の商品は往々にしてあります。

WEBページ審査による急な商品掲載ストップにご注意


例えば、Tmall国際に無事出店ができ、100点ほど出品していたとします。ある日突然、商品掲載がごそっと無くなっているケースがあります。これは、事前連絡なしに訪れるのですが、プラットフォーム運営社側で何かしらの不都合・不具合があった場合などに落とされます。このケースの予防対策は現状なく、現在は’’毎日チェックする’’ことで発生した際にスピーディーに「なぜ不掲載となったのか」をプラットフォーム運営側に確認をとり、再出品の申請をするしかありません。各プラットフォームによって審査基準が違いますので、事前によく確認しておきましょう。
こういったケースのためにも、中国側でのショップ運営部隊の人員配置は充分に構成しておく必要があります。現場は中国であり、諸々の対応を日本からの遠隔操作では困難です。
※参考:Tmallの商品基準(中国語)です。

保税区 vs 直送。コスト面だけではないその選択基準とは?


日本から直送するか保税区を活用するか、デリバリー問題は悩ましいところです。結論としては保税区を活用するほうが安くなるケースが多いのが現状です。これはあくまで参考ですが、中国全土へ送るコストとして、とある健康食品メーカーでは1商品あたり平均約23元(355円)程度かけています。これにEC通関輸入税が11.9%かかってきます。つまり、これらの合算が直送と比べて高いか安いかという判断になってきます。
ただし、AかBかという選択ではなく、実際、物流を決定する際にはかなりの変数が存在し、あらゆるパターンを網羅して考える必要があります。物流会社や保税区、商品単価(特に高額商品)、物量によって物流コストは大幅に違ってきたり、場合によっては、一般貿易により香港まで輸送し香港EMSを活用して本土に個配するという選択肢などもあります。(※参考:値上げされたEMSを半額にする方法(2016年春版)
物流に関しては非常に複雑で、社内で頭を抱えて悩むよりは、専門家の協力を得てスピーディーに選択していくほうが、結果的にコストを下げられ、本業に専念できるとクリップスではお伝えしております。

また、各保税区によってスタンスが異なるのも事実です。保税区によっては協力的に通関手続き周りのことをやってくれるところもあり、こちら側の業務が非常にスムーズになります。

直送モデルに関しては、現在EMSの場合、500グラムまでは1400円であり、この金額が先ほどの保税モデルの輸送費とEC通関輸入税の合算と比べて安ければ、直送モデルを使うべきです。ただ、越境ECでお買い物をされるお客様の中には、日本からの直送を好む方もいらっしゃるため、コスト面だけですべてを判断するということも必ず正解になることはないようです。肝心なことは自分たちの売り方というものをテストマーケティング等によりしっかりと把握しながら何を選択していくか考えていくことなのではないでしょうか。

急に起こる’’変化’’に如何に対応していくか


中国ではいろいろなことが急に起こります。今年の4月8日に中国政府は保税区を利用した越境EC輸入に関して税率を大幅変更しました。また5月にその税制が一部緩和され、10月にさらに化粧品輸入においても緩和されました。

急な’’変化’’は政府に限ったことではなく、民間でも起こり得ます。例えば、JDworldwideのオンラインキャンペーンの案内が突然朝に「本日夜7時から開催します。今すぐ参加して下さい。」とQQで連絡が来るということもありました。
確かに越境EC経験の浅い方には突然に感じることが多くあります。しかし、ダブル11以外でもECプラットフォーム主催で行われるキャンペーンは毎年年間で数十件はあり、概ねタイミングは毎年変わりません。クリップスが運営しているショップでも、よくプラットフォーム運営側からキャンペーンのお知らせが来ますが、だいたい数日前くらいです。しかも毎年ほぼ同じ時期に行われるので多少はタイミングを読むこともでき、突然で慌てることはあまりありません。

越境ECを成功させるための5つのポイント


中国オンライン市場の商習慣、そして変化の激しさにいかに適応していくか、参入を考える企業にとっては事前に心得ておくべきことです。最後に越境EC取り組みのポイントを5つにまとめて終わりたいと思います。

1.中国人消費者は越境購入経験が豊富
訪日観光などにより日本の製品やサービスの良さを体験したユーザーがまだまだ増加中です。自国に帰った後、越境ECでまた買いたいと思うタイミングもますます増えてきています。一部で中国経済に翳りが出てきたと言われることもありますが、そもそも規模がまったく違います。参入はまさに今です。

2.スピードが命
中国政府のトップダウンによる制度変更と常に向き合わなければなりません。またECプラットフォーム運営社の意思決定も非常にスピーディです。さらには顧客へのチャット対応など、常にスピードが要求されます。

3.現地パートナーと組む
現地のパートナーと組む、あるいは、現地をよく知っているパートナーと組むということが非常に重要です。判断基準が全く違うためです。また現地の人ならどう考えるかという視点も重要です。外野からの越境感覚ではなく現地感覚でみることが大切です。また先述の制度や規定、ルールの変更などは情報が命です。国外からでは情報獲得が遅れます。

4.インバウンドでファンを作る
日本の実店舗での質の高いお買い物体験やサービス体験が中国人消費者に感動を与えます。帰国後、本店WEBサイトで消費してもらうための仕組みが売上を効率的にあげる重要な役割を果たします。Google翻訳などで多言語切り替えができたり、本店WEBサイトの配送を越境対応にするなど、できることは豊富にあります。

5.スマホ最適化
タオバオのアクセスの70%がスマホです。また中国ではテキストより写真です。商品をみせる際は写真の質、ボリュームが非常に重要です。そしてチャットです。ほぼリアルタイムのチャットコミュニケーションに上手に対応していくことがお客様の信頼を得ることにつながります。
※チャット顧客対応の重要性について述べた記事はコチラ→(中国越境ECで売上を着実に伸ばすコールセンター(カスタマーサポート)の最も重要な役割とは?

 

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