
中国越境EC業界に残る最大の課題とは?
最も重大な課題のひとつに’’消費上限金額’’があります。越境ECで商品を購入する際に中国人消費者に課せられている消費金額上限のことです。1回の購入につき2千元以内、また年間における消費上限も決められており2万元となっています。
Tmallの発表によるとTmall国際では1回の購入における2千元以上のオーダー率が2千元以下のオーダー率を上回ったとのことです。消費者は海外製品によりクオリティが高く品質の良い高単価なものを買う傾向にあるということです。このような傾向のさなかでは、1回の消費上限が2千元と制限されてしまっていることで、消費者は購入チャネルとして越境ECを選ばなくなります。メーカーが運営している外国語の直営サイトにアクセスし商品を買うという手段をとるようになりがちです。そうすると国内に税金がおちることはなく、消費金額はすべて海外に流れていってしまいます。また、消費者や海外メーカーにとっては輸送コストが高くなり、消費体験もクオリティが下がってきます。中国政府にとっても、消費者にとっても、海外メーカーにとっても良い仕組みとは言えません。2千元の上限が明らかに越境ECのさらなる発展を阻止していると言えます。政府もこれを課題だと認識してはいるものの、まだ現段階では様子見のような印象を受けます。
他にも、課題はあります。課税ルールが非常に複雑であるということが企業を悩ませています。商品に課せられる税金は商品種別だったり原材料により決定されていくのですが、課税目録には難解なケミカル原料の用語が記載されていたり、分類が細かすぎたり、場合わけが無数に存在するなど、貿易経験の少ない新規参入企業には非常にやっかいです。新しく越境ECビジネスをやろうとした時に、高いハードルとなります。これもまた越境EC業界の拡大を鈍らせている原因ととらえることができます。
グレーゾーン業者への対策、そして偽物流通撲滅へ
中国では無数に存在する法律のグレーゾーンで稼ぐような業者にとっても越境EC業界は今やかっこうの稼ぎ所となっているようです。海外のベビー用品や健康食品、一般食品、化粧品などの正式バイヤーやブランド総販売代理店、商社などは彼らのえじきになり、あらゆる形で訴訟を起こされているというのも事実です。商品の中国語表示や検査・検疫の証明、添加物の基準違反などがその火種となることが多いです。
こういった問題に越境EC業界を牽引するプラットフォーム企業も黙っているわけではありません。具体的な対策も多数とられています。例えばプラットフォーム企業が商品の生産国現地で子会社を作り、その企業を主体に商品をバイイングするという仕組みも良い結果を生み出しています。また偽物の流通問題に関しても、プラットフォーム企業では販売店や物流、アフターサービスの厳格な審査を実施するなど、対策を講じています。
中国越境ECには多くの課題がいまだに多く残ります。今後は業界に関わる企業が個別に対策をとっていくだけでなく、業界全体でこういった課題解決に尽力していくことがより一層求められると言われています。
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