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中国2019年電商法-ソーシャルバイヤーの終焉!?(保存版)

中国2019年電商法-ソーシャルバイヤーの終焉!?(保存版)

越境EC販売や日本本土リアル店舗のインバウンド対策に関わる中国の「電子商務法」(電商法)ですが、実行してから、既に1ヶ月が経ちました。 日本国内の小売ショップやメーカーは少なからず、影響を受けているでしょう! いくつかのメディアが「電商法」について取り上げていましたが、「越境EC政策」と「電商法」を全く別物と認識しないままで、誤った情報を伝えているサイトが少なくありません。そのため、正確な情報を伝えたく、当記事を作成いたしました。


(越境EC政策はこちらにご参照下さい)


2019年1月1日実行された「電子商務法」(電商法)とは?


2019年1月1日、中国のEC業界に大きな影響を与える「電子商務法」(電商法)が施行されました。2018年8月31日に公開されて以来、注目が集まっていたこの新しい法律、まずはどのような内容なのかを紹介いたします。


今回施行された電商法(概要)は



  • 電子営業許可書の取得、及び自身のストア上への掲載

  • デポジットの返金の円滑化

  • 悪い評価・コメントを勝手に消すことの禁止

  • 本人の許可がない個人情報の転用の禁止

  • 過去の取引記録などを利用し、常連客に高値で売りつけるなど、顧客によって商品詳細を変更することの禁止

  • ECビジネスを営む全員の納税義務 ※重要


※特定販売を除くケースがございます。


ECプラットフォームに対しては下記の条目(概要)が記載されました。



  • 取引記録の3年間の保存

  • キャンペーン期間中に、売り手に対し強制的に使用プラットフォームを1つに限定させることの禁止

  • Tmallや京東などにおいて「自営」の標示の明確・必須化

  • プラットフォーム経営者の、公平かつ秩序ある取引環境の整備への協力、有事に法的責任を問われること



電商法が実行される目的


以上の幅広い内容を含む新しい電商法、主な目的としては「市場の安全性を高め、合理的で秩序のある取引を維持する」ということです。売り手やプラットフォーム運営者を全て公的に登録することにより、消費者が安心して購買することができるようになります。また、公的文書である許可書の掲載を義務付けることで、偽物の販売の防止や、不当な価格競争を回避できるというメリットもあります。多くのプラットフォームの登場など、中国国内でECのあり方が多様になるに伴い、取引に関わる不正やトラブルも多様化していました。この電商法では、こうして乱れた市場を一度しっかり取り締まり、消費者の安全な取引を確保するという意義があります。


中国ソーシャルバイヤーが与える影響


日本と中国のEC市場環境はかなり異なります。日本では、アマゾンや楽天などB2Cのプラットフォームは信頼度が高く、特別な理由がない限り多くの人はこちらのプラットフォームを使って買い物をします。一方で中国では、B2Cプラットフォームには偽物も多いこともあり、信頼度が高くありません。身元がはっきりした人や認識のある人から、直接買い物をするC2C型のECが比較的発達していました。中国の越境EC市場では、2015年まではC2Cが総取引額の半分以上を占めているほどでした。 この背景の中で勢力を強めたのがソーシャルバイヤーです。


越境販売規模


WeChatなどSNSを使い、常に連絡が取れる状態であるという信頼度を担保に、海外で仕入れたものを個人間で売買するというビジネスです。日本でも一時期注目を集めた「爆買い」の裏には、これらのソーシャルバイヤーの存在がありました。非公式統計によりますと、日本にはすでに45万人もの中国人ソーシャルバイヤーがいると言われており、彼らは日本で購入した化粧品や生活品を独自のネットワークを使って中国国内で販売しています。


彼らの存在は、日本企業にも大きな影響を与えています。マーケティング活動の一環として、ソーシャルバイヤーの方にサンプルを無料提供し、自身のネットワーク内で宣伝をしてもらうように促す企業も増えてきました。これにより、越境ECサイトにわざわざ店舗を構えるよりも効率的に自社商品を中国人に宣伝ができ、彼らが日本旅行に来た際に直接買ってもらうことにも繋がります。インバウンドの中国人観光客の数が年々増加する中、日本のメーカー企業としては、彼らに顧客になってもらうことがとても重要であり、それゆえにソーシャルバイヤーが現在注目を集めているのです。


中国ソーシャルバイヤーの終焉?!


決して無視てきない中国ソーシャルバイヤーとして認識されるようになってきた今。しかし、今回の電商法の施行はこれらソーシャルバイヤーにとって、メーカーにとっても、良い知らせではありません。彼らにとっての大きな変更点は、これまで曖昧にされていた「自分のネットワークを通じた商品の販売」や「ライブコマース」などについても、れっきとした越境ECと見なすようになったことです。これによりソーシャルバイヤーも、EC自営者として公的に登録申請をし、営業許可を得る必要が生じました。同時に、所得税等の納税義務も発生し、ビジネスの大小に関わらず、収入を申告し納税するという手間が増えました。これはつまり、ソーシャルバイヤーとしての営業費用(管理・税務などを含める)が大幅に増加することを意味します。 実は、このソーシャルバイヤーによる購入代行は、中国政府からは少なからず問題視されていました。納税を回避するケースや、個人情報の管理が不適切であるケースなどが多々報告されており、今回の電商法は、政府がこの状況を本気で取り締まりに来ているものとも解釈できます。政府の電商法にかける本気度は、昨年のある事件にも現れていました。昨年の9月28日、上海の浦東空港で、100人以上のソーシャルバイヤーが税関検査に引っかかったのです。


9月28日税関


電商法施工前でしたが、中国政府は昨年から税関の監視を厳しくしており、彼らは脱税の疑いで多額の罰金を払わされました。こうした税関での罰金はその後も散見されており、ソーシャルバイヤーの取り締まりは厳重化しています。こうして増大する営業費用により、ソーシャルバイヤーの商売における「安さ」という強みが奪われ、商売存続の危機に直面する可能性が出ています。


法律に追いついていないインフラ整備


それでは、営業許可書を獲得すればとりあえずは大丈夫なのでしょうか。実は現在、この営業許可書をめぐり中国では混乱が起きています。C2Cプラットフォームの淘宝では、営業許可の申請者が多すぎて、発行側の対応が全く追いついておりません。アリババは、淘宝の営業許可申請者のために、政府と協力して「淘宝小镇」というサイトを開設し、オンラインでの申請を可能にしました。


淘宝小镇


しかし、多すぎる申請者のためサイト上での申請は途中で操作が中断されてしまい上手くいかず、電話で問い合わせてみると常に回線混雑により繋がらないという状況です。しまいには、直接話を聞こうとした人たちが杭州の事務所に殺到したほどです。 (現在、当サイト1期目の募集は既に終わっています。)ある調査によると、1月3日時点で8936社が淘宝の営業許可書を獲得しているそうですが、淘宝上に売り手はなんと980万以上おり、ソーシャルバイヤーなどを含めると1000万を超えるとも言われています。電商法が施行され国内では混乱が増しておりますが、淘宝も政府も共にまだインフラの整備が追いついていないようです。政府の動きがあるとしたら旧正月が明けてからになると予想しておりますが、突然の知らせも考えられるので、静かに動向を見守るのが吉でしょう。


新たなソーシャルバイヤーの活用について


一言で申し上げますと、「ソーシャルバイヤー」を「アフィリエイター」に転身させるのです。 電商法の影響で、ソーシャルバイヤーのメイン物流手段であるEMSや持ち込み配送への制限が厳しくなってきます。そのため、ソーシャルバイヤーが自ら仕入れることを期待できなくなります。ただし、「繋がり」が多いソーシャルバイヤーだからこそ、「アフィリエイター」機能を活用することが可能です。売れた分によって「営業手数料」として支払う動きが増えてきています。イメージとしては、下記の図をご参照下さい。


ソーシャルバイヤーの活用について


当社では、2019電商法の対策サービスをリリースしておりますので、興味がある方はぜひお問い合わせください。



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